●第40回医療研究全国集会in青森 市民講座
国民皆保険制度を揺るがす「医療改革」
日時:2013年10月27日(日)
12:00 受付開始、13:00 開会、16:00 閉会
場所:平和と労働センター 全労連会館ホーム
〒113-0034
東京都文京区湯島 2-4-4
参加費:500円
※コーディネーター、パネリストが以下の通り一部変更されました。
【コーディネーター】
長友薫輝(三重短期大学教授)
【パネリスト】(50音順)
聞間 元(静岡県保険医会理事長)
後藤道夫(都留分科大学名誉教授)
佐藤英仁(東北福祉大学専任講師)
横山壽一(公益財団法人日本医療総合研究所副理事長 金沢大学教授)
主催:公益財団法人日本医療研究所
●看護問題プロジェクト報告「急性期一般病院における看護職員の腰痛・頸肩腕痛の実態調査」 ●公教育における薬害教育の今を考える② 他
8月23日(金)、東京で第14回薬害根絶デーが開催されます。今回は、薬害被害者の方々と交流するワークショップも行われる予定です。詳細はチラシを参照してください。
日本医療総合研究所のモニタリング小委員会で取り組まれていた新刊書籍『皆保険を揺るがす「医療改革」』が新日本出版社より発行されました。詳細は「書籍案内」のページを参照してください。
6月14~16日にかけて青森市で開催された第40回医療研究全国集会はのべ849名の参加で終了しました。2日目午後に行われた市民講座へは120名が参加。市民講座の詳細は、『月刊国民医療』で紹介する予定です。
抗がん剤イレッサによる生命・健康被害に対する民事訴訟で、最高裁は4月12日に被告アストラゼネカ社(以下「A社」)の責任について、原告被害者らの訴えを棄却する判決(以下「判決」)を下した。国に対する訴えは4月2日の「決定通知」により棄却しており、これにより訴訟は原告全面敗訴という結果になった。
このような判断が出された理由として、判決では、A社が(輸入承認時点では)「イレッサには発現頻度及び重篤度において他の抗がん剤と同程度の間質性肺炎の副作用が存在するにとどまるものと認識」(以下「A社認識」)していたので、この認識に基づき、添付文書第1版において「警告」欄を設けずに、「重大な副作用」欄を設けて間質性肺炎の副作用につき記載したのであり、10月15日に発出された緊急安全性情報に記されたような「急速に重篤化する間質性肺炎の症状」は、承認時点では予見し得なかったと記載している。
しかしながら、この判断は、以下の4点で不当であり、容認できないと言わざるを得ない。
第一に、訴訟並びに調査研究で解明された事実に基づく公正で科学的な判断とは言えず、原審(高裁)の、記載や数字の誤りも含む不当な事実認定をそのまま追認していること。
第二に、前記の「事実」認定は、主にA社の報告をもとに行われているが、A社及び国のイレッサ承認審査の過程では、肺障害に関するリスク情報を正当に評価しない拙速な審査が行われたという事実があるのに、これを何ら問題にしていないこと(例えば、国は、イレッサ投与後に肺臓炎による呼吸不全で死亡した日本人症例の報告を、イレッサ承認審議の半月前にA社から受けていながら、審議の場には全く報告していない。「イレッサ薬害」桐書房、等の文献参照)。
第三に、イレッサ投与と死亡との因果関係が「否定できない」と被告側申請の専門医が証言している例でさえ、判決は「因果関係が肯定できない」から認定できないという、薬害の「予防原則」に即した判断を否定していること。
第四に、イレッサ投与と死亡との一般的因果関係判定にあたっては、個々の臨床症例を個別に評価するだけでなく、前臨床試験(動物実験)も含め、総合的に評価すべきところ、そのような判断を行っていないこと。
前臨床試験及び、臨床試験段階における重大なリスク情報を正当に評価せず、拙速な承認の結果、承認後半年(2度にわたる添付文書改定等の安全対策実施)までに180人、2年8か月(日本肺がん学会ガイドライン策定・実施)までに576人の副作用死亡報告が出されており、少なくともこれらの被害は「薬害」である。民事訴訟は終結したが、諸外国に先駆けた新薬の承認を急ぐ余り、安全性確保対策をなおざりにしたA社と厚生労働省の社会的・行政的・道義的責任は否定できない。
また、2011年1月に、東京・大阪両地裁による、国の救済責任を指摘した和解勧告に対し、厚生労働省が、勧告に従うことはがん患者の利益に反すると曲解し、和解への懸念の表明を求める声明文案を日本医学会等へ提供した事実が明らかとなった(本件は、現在、情報公開訴訟が継続中である)。このような薬害被害者に二重の苦しみを与える許し難い手段を用いてまでして和解拒否を正当化し、全面解決の機会を奪った行為は許し難い。
以上の認識に立って、私たちは、(1)イレッサ薬害の真相についての検証を国と企業の責任において徹底的に行い、二度とこのような被害を起こさないよう最善・最新の安全性確保対策に繋げるとともに、(2)最高裁判決で2人の裁判官が「有用性がある新規開発の医薬品に伴う副作用のリスクを、製薬業界、医療界、ないし社会的により広く分担し、その中で被害者保護、被害者救済を図ることも考えられてよい」と補足意見に記したように、抗がん剤の副作用被害(少なくとも死亡ないし重篤な被害の場合の)救済制度の創設を実現することを求める。
1971年以降、21回にわたって「国民の医薬シンポジウム」を開催し続け、薬害問題について解明を続けてきた私たちは、今後とも、薬害問題の解明・解決のために、国民とともに共同の努力を重ねる所存である。